人生において大きな買い物といえる住宅の購入。お金がかかることは承知の上と思っていても、「少しでも資金を抑えられるのであれば…」と思う人も多いのではないでしょうか。特に建築価格が高騰しているタイミングでは、賢く良い家を購入するために補助金制度の利用もしっかりと計画しておきたいところです。
このページでは、住宅購入を検討する人に知ってもらいたい補助金制度について紹介していきます。本格的に家づくりの前にチェックしておきましょう。
2022年10月現在、経済対策や環境対策などとして国が掲げる補助金制度は、住宅取得を対象としたもので4つあります。
補助金額の上限もそれぞれ異なり、対象となる住宅の要件等も様々。自分が購入したい住宅が対象になるのか、どのような住宅であれば制度を受けられるのか参考にしてみましょう。
これらの補助金制度を受けるための条件など最新の情報については、国土交通省の公式ホームページに掲載されておりますので、必ず確認するようにしてくださいね。
こどもみらい住宅支援事業は、2021年よりスタートした補助金制度の一つです。
子育て世帯や若年夫婦世帯を対象とした制度で、新築住宅はもちろんリフォームについても対象となります。この制度のポイントは、経済的な負担の軽減、省エネ性能住宅のストック増加を目指す2つの目的を持った事業という点です。対象となる要件について見てみましょう。
※リフォームの場合は、世帯制限なし
注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入で上記対象条件に該当する場合は、住宅性能に応じて60~100万円の補助が受けられます。
この補助金制度は、建築事業者または販売事業者による交付申請が必要なため、こどもみらい住宅事業者登録済みの業者であることも事前に聞いておくことが大切です。
地域型住宅グリーン化事業は、「地域の中小工務店等が連携して取り組む良質な木造住宅等の整備支援事業」として、昨年に引き続き補助金を受けられる制度となります。この制度には、中小工務店と木材関連業者等が一つのグループとなり地域の生産体制の強化を目指し、省エネ性・耐久性の高い木造住宅の整備を促進することに加え、環境負荷を低減する目的があります。制度を利用するためには、国土交通省より採択を受けたグループで、対象となる新築住宅を建てた場合のみ要件を満たす点も特徴です。
支援対象となる住宅は、全4種類。住宅の種類によって、下記のように補助金額が異なります。
令和4年度の採択業者は、全国で668グループのみ。地域型住宅グリーン化事業公式ホームページにて、グループ一覧の確認が可能です。
聞いたことのある補助金制度のひとつが「ZEH補助金」ではないでしょうか。この支援制度は、国土交通省に加え、経済産業省、環境省の連携事業となります。
ハウスメーカーや工務店など、様々な会社で対応しているZEH住宅。省エネ住宅といえばZEHを思い浮かべる人も多いかと思います。では、補助金額や種類についてもチェックしてみましょう。
参照元:経済産業省 資源エネルギー庁HP(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/index.html)
次世代ZEH +住宅については、これらの補助金に加え、対象の設備導入に伴う費用を加算した額の補助金が受けられることも特徴です。高性能省エネ住宅と呼ばれるZEH住宅ですが、補助が受けられる金額も異なるため、どのタイプの住宅を建てるか検討材料にしてみてはいかがでしょうか。
最後に紹介する補助金制度がLCCM住宅整備推進事業」です。この制度は、省CO2化を進めた先導的な住宅を対象としていますが、それだけではどのような住宅かよくわかりませんよね。
LCCM住宅とは、家を建てる時から壊す時までのCO2排出量に配慮した住宅のことをいいます。もちろん、太陽光発電システムなどの導入による再生可能エネルギー創出のZEHを前提としているため、まずはLCCM住宅に対応したハウスメーカーや工務店を探すことがポイントといえるでしょう。
補助金額は上限140万円で、設計費、建設工事等における補助対象工事の掛かり増し費用の2分の1が補助対象となるようです。
「CO2収支マイナス」という環境にも暮らしにも配慮した新しいLCCM住宅。補助金制度だけでなく、住宅性能にも魅力を感じますね。
新耐震基準に適合した耐震性の確保や省エネ対策等、住宅性能をアップさせるリフォームや子育て世帯の改修工事に対する補助金制度です。
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、工事を請け負う施工業者が申請を行い、工事発注者である施主に補助金を還元するといった制度。申請するためには、工事請負契約の際に施行業者が事業者登録を完了していることも条件のひとつです。そのため、契約前に補助金申請に対応した業者かどうか確認が大切になります。
また、長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金を受けるためには、下記の条件を満たしたリフォーム工事を行う必要があります。
※インスペクションとは建物状況調査のことをいい、既存住宅状況調査技術者によって実施することも要件の一つです。
さらに、補助限度額が加算される要件などもあるようなので、新年度がスタートする4月頃に公式サイトを確認してみるといいでしょう。
経済産業省の「分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」がこの補助金制度の一つです。「DER」とは、分散型エネルギー源のことをいい、太陽光によって創った電気を蓄電池や電気自動車に充放電する創畜連携システムなどが含まれます。
これらの設備を備えた省エネ住宅も増えており、エネルギーの自給自足が可能な住宅を購入したいという人はチェックしておきたい補助金制度と言えます。補助限度額は、導入する設備によって下記のように異なります。
補助金に充てる予算額が決められているため、申請額が予算額に到達した場合は交付申請の受付が終了します。補助金申請をする場合は、公募期間を確認のうえ早めに申請しましょう。
2020年12月15日以降に行われた工事請負契約または不動産売買契約が対象となるグリーン住宅ポイント制度。補助金ではなくポイントの付与という点も制度の特徴です。付与されたポイントは、政策テーマに基づいた下記にある様々な商品の購入に利用できます。
また、ポイント付与の対象となるものは下記の4つです。
2023年3月現在、グリーン住宅ポイント制度では、ポイント発行申請の受付が終了しています。新年度に入り、新たに予算が組まれることになれば制度を利用することができるかもしれませんので、公式サイトを確認してみるのもおすすめです。
消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応として、住宅取得に係る消費税負担増を緩和するための給付措置が「すまい給付金」です。
消費税10%へ引き上げられた令和1年より給付額も最大50万円までと拡充され、住宅購入を検討する世帯は利用すべき補助金制度の一つでしょう。給付額は、建物所有者となる者の所得に応じて決まります。すまい給付金の公式サイトにて、給付金のシミュレーションもできますので、一度試してみるのもよいでしょう。
給付金の申請は、住宅事業者による手続代行も可能ですが、基本的には住宅取得者本人であり、住宅に居住する者が行います。申請期限は、住宅引渡日から1年3ヶ月以内となり期間には余裕がありますが、早めの申請が望ましいでしょう。
手続き詳細を確認するにはサポートセンターまたは各都道府県に設けられた窓口へ問い合わせてみてください。
国の政策である補助金制度のほかにも、各自治体独自で設けた補助金制度があることはご存知でしょうか。今回は、東京・神奈川を対象とした補助金制度について紹介しましょう。
東京の地域特性を踏まえた省エネ性能の高い住宅の普及促進のために生まれた東京都内独自の制度が、東京ゼロエミ住宅の新築等に対する助成事業です。令和元年よりスタートした制度となり、令和4年度申請受付期間は、令和4年6月22日から令和5年3月31日となっています。助成金額は、下記の費用によって区分されているので、参考にしてみてください。
令和4年度から令和6年度まで実施予定の神奈川県秦野市独自の制度が、はだの丹沢ライフ応援事業です。この制度は、秦野市への移住・定住促進のため、市外から本市へ転入、市内居住の若者世帯の住宅取得を対象とした助成事業となります。
助成対象者は、下記のすべてを満たすことが要件とされています。
助成対象世帯員が自ら居住する市内の戸建て住宅又は分譲マンションであり、令和4年4月1日以降に工事請負契約又は売買契約締結をした住宅であることも要件です。助成金額は基本額を20万円とし、子育て加算や移住加算など該当する場合は各10万円が加算され、上限60万円の助成を受けることができます。
ここからは、補助金申請の際の注意点についてもお伝えします。
各種制度は、それぞれ申請方法や申請時期など個別に設けられているため、事前に確認しておくことがポイント。また、申請するためには、住宅の新築や販売を行う会社が事業者登録をする必要があり、家づくりを計画する段階で各種補助金制度への対応の可否を聞いておくことも忘れないようにしましょう。
4つの補助金制度は、それぞれ申請期限があります。例えば、最初に紹介した、こどもみらい住宅支援事業は、2022年10月31日から2023年3月31日まで申請期限が延長となりました。申請は事業者登録をした建築業者が行う必要があります。ZEH補助金・LCCM住宅整備推進事業については、年に数回約1~2ヶ月の申請期間を設けていますが、予算執行状況により受付終了となるケースがあります。
また、地域型住宅グリーン化事業においては、採択グループごとに配分された補助対象戸数を超える場合、申請ができないため注意しましょう。
質の高い住宅を賢く購入するために欠かせない補助金制度ですが、制度によっては併用ができないケースがあります。
こどもみらい住宅支援事業は、他の3つの補助金制度すべてと併用不可とされており、すまい給付金や住宅ローン減税等の税制優遇等とは併用可能な点も注意が必要です。
このように、組み合わせによって併用できるケースとできないケースがあることは覚えておきましょう。
補助金制度のうち、国庫補助金等に該当する場合は、確定申告が必須となります。ただし、特別控除額50万円を超えた場合でも、一時所得として課税対象にはならず、特例措置である「国庫補助金等の総収入金額不算入の特例の適用」を受けることが可能です。
補助金制度を利用した場合は、確定申告書とあわせて「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を提出する必要があるため、書類は早めに準備するのがおすすめです。
国による補助金制度は、期間の延長や制度内容の見直しなどもあり、補助金制度の利用を計画する場合は、公式ホームページ等で確認することが重要です。申請期間が延長され、対象要件も変更となるケースがあったり、これまでの制度が終了した場合でも、新しく類似の制度ができるケースもありますので、最新の情報を入手するようにしましょう。
国による住宅関連の制度は、補助金・減税・優遇など多様化しており、その詳細を全て把握して自分たちだけで計画するには少々無理があるかもしれません。申請する補助金の選択、併用の可否やその他手続き等、プロにアドバイスをもらうのが理想的でしょう。
また、注文住宅などの新築を検討している場合は、補助金制度の対象となる住宅を提供しているか否かも住宅メーカーや工務店選びの参考にするとよいかもしれません。
保有資格:FP技能士3級、宅地建物取引士 (宅建士)、管理業務主任者
2014年の第2子出産を機に、不動産賃貸経営管理を中心とした事業を展開する不動産会社へ転職。賃貸マンションの維持管理をはじめ、分譲マンション管理組合の運営サポートなどを幅広く経験。同不動産会社に勤務しながら、2019年よりライター活動をスタート。
引用元:おうちの買い方相談室
(https://ouchino-kaikata.com/)
住宅購入の支援事業を中心に、子どもにお金の大切さを教える「キッズマネースクール」や保育園まで展開している、子育て世代を応援するビジネスを多く展開しているGOEN株式会社が運営する、何回通っても無料の住宅相談カウンター。
「おうちの買い方相談室」では、ファイナンシャルプランナー(FP)の中でも住宅に特化した「住宅FP」と日本住宅購入診断士協会認定の「住宅購入診断士」という、マイホーム購入の専門家が在籍。
資金計画と住宅選び、それぞれの分野について有資格者が客観的な立場でアドバイスを行っています。
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