不動産を購入する際、売買契約前に行われるのが重要事項説明書を用いた説明です。重要事項説明書には、土地や建物の基本的事項に加えて、事前に伝えておかなくてはならない様々な情報が記載されています。これらの中の一つがハザードマップです。今回は、ハザードマップについて紹介していきます。
令和2年に宅地建物取引業法が改正され、不動産取引時に水害ハザードマップによる対象物件の所在地について事前に説明することが義務付けられました。
改正後に賃貸物件を借りたことのある人はご存知かもしれませんが、すべての不動産取引において実施する必要があります。昨今では、大雨や台風などの自然災害による建物被害等が増えている背景もあり、購入者の不測の損害発生を防ぐための方法として義務付けられているのです。
ハザードマップは、市町村において発行されており、洪水浸水想定区域や災害時の避難場所などが記されていることが特徴です。また、洪水・内水・高潮などのリスクがある場所なのか、それぞれマップにより見える化することで、個々の防災意識を高めることにも期待されるものともいえます。
国土交通省のハザードマップポータルサイトでも災害リスクの情報確認は可能ですが、説明の際に使用するハザードマップは「市町村が配布する印刷物又は市町村のホームページに掲載されているものを印刷したものであって、入手可能な最新のものを使うこと」が運用のガイドラインとなっています。
水防法に基づき作成されていますが、デザインや記載の内容などは市町村によって異なることも特徴です。ハザードマップには、災害想定区域だけでなく指定避難場所や医療機関、自治会などもマップ内に記されていることが多いため、活用の幅も広いといえます。
購入する住宅が災害想定区域に位置するのかを把握するだけでなく、エリア全体を確認し災害が発生した際にどのように避難するのか、家族で防災計画を立てるときにも参考にしてみるといいでしょう。
購入を検討していた土地が区域内に入っていた場合にどうすべきか悩んでしまう人もいるかもしれません。
もちろん、土地や建物を探すタイミングからハザードマップを活用することがおすすめですが、災害想定区域内だったとしても、焦った状態で購入の有無を判断しないようにしましょう。
ハザードマップは、浸水した場合に想定される水深ごとに色分けされていることが大半です。色が掛かっているエリアに位置していた場合でも、想定される水深によっては購入をやめるほどではないケースもあります。また、ハザードマップはリスクを把握するためだけにあるのではなく、事前の備えや家族が安全に避難するための計画を立てるために利用できるものです。
ハザードマップの災害区域内に土地や建物が入っていた場合でも、リスクの度合いを把握したうえで購入を検討してきましょう。
土地を購入して家を建てる場合は、防災を意識した家づくりを計画することも大切です。
大雨や地震など自然災害のリスクが高い国でもある日本。そのため、他の国に比べて建築基準法も厳しく設けており、防災対策については海外からも高い評価を受けています。当然、これから家を建てる場合、この建築基準法に則って行うこととなりますが、ハザードマップを参考に発生の恐れのある災害に応じた対策ポイントを知っておくことも大切です。
とくに日本で心配される災害「地震」と「水害」の対策ポイントをチェックしてみましょう。
地震対策には、土地探しの段階から防災マップの活用がポイント。地震の影響は、地盤の強度によって異なります。国土交通省の地震ハザードマップや国立研究開発法人の地震ハザードステーションなどにより、地震被害想定や地盤情報などを見ることができます。これらを活用して、地震に強い土地を探すことも対策の一つ。
また、田畑から宅地に変更した土地に家を建てる場合は、液状化が懸念されます。家を建築する前に専門家による地盤調査を実施する場合も多いですが、杭打ち等により予想以上に費用がかかるケースもあるため、事前の調査を検討しましょう。
水害対策では、昔から盛り土による敷地全体のかさ上げを行う方法が多く取り入れられてきました。かさ上げの場合、開発許可が必要なうえ工事金額が高額となるケースが多いことが特徴です。
そのほか、敷地を防水性の塀で囲む方法や基礎を建築基準法の規定の高さを超える高床とする方法、防水壁を設ける方法などもあります。どの対策方法も費用がかかるので、土地の特性に応じた有効な方法を相談しながら家づくりをすることもポイントになります。
ただし、最近では想定以上の自然災害が発生することもあります。建築時に対策をしたからといって安心しきらず、避難場所や経路の確認、土嚢を用意しておく等の防災意識を持っておくことも忘れないようにしてください。
災害に強い家を建てるという意識は皆さんも持たれているかと思います。土地探しについても同様に考えながら行うことが重要です。
そうは言っても、希望するエリアの土地を探すだけでも一苦労。土地探しから住宅会社選びまで、家づくりには時間も気力も必要です。計画通りに家づくりを進めるためには、土地探しのコツや自分に合った住宅会社の提案を受けられる専門家に相談することも手段の一つでしょう。
保有資格:FP技能士3級、宅地建物取引士 (宅建士)、管理業務主任者
2014年の第2子出産を機に、不動産賃貸経営管理を中心とした事業を展開する不動産会社へ転職。賃貸マンションの維持管理をはじめ、分譲マンション管理組合の運営サポートなどを幅広く経験。同不動産会社に勤務しながら、2019年よりライター活動をスタート。
引用元:おうちの買い方相談室
(https://ouchino-kaikata.com/)
住宅購入の支援事業を中心に、子どもにお金の大切さを教える「キッズマネースクール」や保育園まで展開している、子育て世代を応援するビジネスを多く展開しているGOEN株式会社が運営する、何回通っても無料の住宅相談カウンター。
「おうちの買い方相談室」では、ファイナンシャルプランナー(FP)の中でも住宅に特化した「住宅FP」と日本住宅購入診断士協会認定の「住宅購入診断士」という、マイホーム購入の専門家が在籍。
資金計画と住宅選び、それぞれの分野について有資格者が客観的な立場でアドバイスを行っています。
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