理想のマイホーム購入を成功させるためにも重要といえる資金計画。
昔から人の暮らしの基礎といわれるのが「衣食住」です。当たり前に必要なものとして知られますが、資金計画はこれら暮らしの基盤を自分らしく豊かなものにする方法の一つ。住宅購入は正しく「住」に当たり、暮らしにかかわる資金計画を総合的に見直すタイミングとしてもおすすめの機会です。
ここからは、資金計画を立てる際のプロセスやポイントを紹介していきます。
資金計画とはどのようなものかご存知でしょうか。
資金計画とは、資金調達・資金運用について短期または長期を見通した計画を立てるものです。企業の経営や自治体の運営などにも用いられていますが、各家庭が住宅購入に伴う資金計画を立てる際も考え方としての大枠は同じです。
まず、資金計画の基本となる家庭の収入・支出について書き出すことから始めましょう。家庭の収支をベースに、住宅購入の予定時期、頭金、住宅ローン借入額を検討して計画に組み込んでいきます。当然、家族の暮らしの変化も影響するため、子どもの成長に応じた支出など予測できるものは資金計画にも入れておくことが大切です。
資金計画は、将来資金繰りで苦しむことのないよう、自分たちの暮らしを守るために行うという側面もあります。収支の現状を知る良い機会でもありますので、家族で話し合いながら進めてみましょう。
住宅購入を視野に入れ、初めて資金計画を立てるという人も多いと思います。
ここからは、どのような手順で計画を立てていくのか、3つのプロセスに沿ってお伝えします。
住宅の購入は、とても大きな買い物です。そのため、住宅購入の際は住宅ローンの利用を前提とする人がほとんどではないでしょうか。ここで検討しなくてはならないものが自己資金です。頭金として準備できる自己資金の額は、住宅ローンの借入額に大きく影響します。また、資金面で余裕が生まれれば、購入する住宅の自由度も上がります。
では、資金計画において自己資金の検討とは、どのようにすべきでしょう。
「既に住宅購入資金として貯蓄しているケース」や、「住宅購入資金・教育資金等分別管理をせずに貯蓄しているケース」、「これから貯蓄をスタートするケース」など各家庭によって様々考えられます。
分別管理をせずに貯蓄をしているケースでは、貯蓄額のすべてを住宅購入資金に充てるわけにはいきませんので、貯蓄額から住宅資金に充てる額について家族での話し合いが必要です。また、これから貯蓄をスタートするケースでは、住宅購入時期、目標額を家族で相談し、できるだけ計画に沿って進められるようにしましょう。
住宅購入資金として充てられる自己資金額が決まったら、住宅ローンの借入額について検討しましょう。
まずは現在の家計の収支をもとに、毎月住宅ローンの返済に充てられる金額を算出することがポイントです。
その際の注意点としては、不動産の所有に伴う税金や今後の貯蓄、教育資金等を考慮しておくということです。土地建物の所有者となった場合、それぞれに固定資産税がかかります。また、賃貸と異なり経年による設備不具合や外壁の改修工事等のメンテナンス費用は自分たちで負担することになるため、住宅の修繕費としての貯蓄も検討しなければなりません。
このような住宅購入に伴い今後発生する費用のほか、お子様のいるご家庭では学費や塾代など年齢に応じてかかる費用も頭に入れて予算を決定すべきといえるでしょう。
住宅ローンは、30年以上先まで続く借金です。将来を見越した無理のない資金計画を心掛けることが何より大切です。
住宅ローン選択時にも考慮すべきなのが家族のライフプランです。
住宅ローンは金融機関ごと多数の商品があり、さらに固定・変動の金利選択、返済期間など自分たちに適したものを選ぶ必要があります。住宅購入時の年齢や定年予定時期、共働きか否か等、収入状況も考慮して検討すべきといえるでしょう。
本来、安定した収入がある定年までに住宅ローンの返済を終えることが理想です。しかし、年齢によっては、住宅ローン返済期間を短く設定しなくては定年までの完済ができないケースも考えられます。このように返済期間が短い場合は、毎月の返済額が高くなることが考えられるので注意しましょう。
まずは、無理のない月々の返済を第一条件とし、ライフプランに応じて繰り上げ返済や目標額の計画を立ててみましょう。また、定年後の住宅ローン残債が残り僅かであれば、退職金の一部を返済に回し完済するといったことも資金計画に組み込んでみると良いかもしれません。
家族にとって心地よい住まいと暮らしを維持するために、考えなければならないお金のこと。家族に適した資金計画を立てるために押さえておきたいポイントについても確認しておきましょう。
住宅を購入する際にかかる費用は様々あります。土地建物の売買契約にかかわる費用のほか、住宅ローン契約事務手数料や引越し費用もそのなかの一部です。例えば、現在居住している住宅を建替える場合には、建物解体費用や不用品処分用のコンテナ代、工事期間中の仮住まいにかかわる費用なども把握しておく必要があります。
また、注文住宅などの工事請負契約を締結した場合は、着工金や中間金など工期に分けて代金を支払うことが一般的です。その際、つなぎ融資を利用する方が大半ですが、つなぎ融資の額に対して利息がかかる点も覚えておきましょう。
このように、不動産売買や工事請負など不動産購入代金の見積書のみの費用で資金計画を立てると誤差が生まれてしまうため、自分たちのケースでかかる費用を確認しながら進めることが大切です。
資金計画を立てる際は、収入の減少や教育費の増加などの収支変動のリスクも考慮しておくことが重要です。
資金計画はこれから先もお金のやり繰りに苦しむことなく、安定した暮らしをするための指針となるものです。結果的に資金計画どおりにすべて進めることは難しかった場合でも、資金計画を立てることで家族にかかわる費用、今後の返済や貯蓄プランなど、お金に対する意識を高めることもできます。
また、ケガや病気で休職しても返済に影響がでないよう、毎月貯蓄に回せる額の確保や保険の選択等リスクヘッジを十分に組み込みながら余裕を持った資金計画を立てることも大切です。
資金計画は、住宅ローンの返済プランだけでなく、家族それぞれのライフプランも踏まえて作成するものです。短期間での収支計画と異なり、家族全員の暮らしを先々まで想定し、生涯にかかるお金についても合わせて検討しなくてはなりません。
失敗しない資金計画を立てるには、家族での話し合いはもちろん、「住宅資金」「教育資金」「老後資金」のほか、税金や建物維持費等の知識も得る必要があり、難しさを感じる人も少なくないでしょう。自分たちだけでの資金計画に不安を感じる場合は、専門家の知恵と経験を借りてみることもおすすめです。
家族の将来やお金のことをじっくり考える良い機会にもなりますので、専門家のアドバイスを受けながら前向きに取り組んでみてはいかがでしょうか。
保有資格:FP技能士3級、宅地建物取引士 (宅建士)、管理業務主任者
2014年の第2子出産を機に、不動産賃貸経営管理を中心とした事業を展開する不動産会社へ転職。賃貸マンションの維持管理をはじめ、分譲マンション管理組合の運営サポートなどを幅広く経験。同不動産会社に勤務しながら、2019年よりライター活動をスタート。
引用元:おうちの買い方相談室
(https://ouchino-kaikata.com/)
住宅購入の支援事業を中心に、子どもにお金の大切さを教える「キッズマネースクール」や保育園まで展開している、子育て世代を応援するビジネスを多く展開しているGOEN株式会社が運営する、何回通っても無料の住宅相談カウンター。
「おうちの買い方相談室」では、ファイナンシャルプランナー(FP)の中でも住宅に特化した「住宅FP」と日本住宅購入診断士協会認定の「住宅購入診断士」という、マイホーム購入の専門家が在籍。
資金計画と住宅選び、それぞれの分野について有資格者が客観的な立場でアドバイスを行っています。
ただ家を買うのではなく、家族との思い出の箱としての家を手に入れる、そして理想的な家を購入しながらも一生お金の心配をすることがない家計をつくる、そんなお手伝いをしています。